地方公務員の給料・年収っていくらなの?
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地方公務員の給料のしくみは?
地方公務員の給料は、ご存知のとおり、みんな同じように昇給して、同じように賞与(勤勉手当)をもらいます。
国家公務員の給料は「人事院勧告」に従って方針が定められ、地方公務員もそれに習う形で決まっていきます。
人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能を有するものであり、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
人事院は、国家公務員の給与等勤務条件の決定について、法定すべき基本的事項は国会及び内閣に対する勧告により、具体的基準は法律の委任に基づく人事院規則の制定・改廃により、その責務を適切に果たすよう努めています。
つまり、国家公務員の給料は、民間企業と同じ水準で、地方公務員も国家公務員に従います、つまり、公務員も民間もみんな同じで公平ですというのが大枠です。
しかし、人事院のHPで国家公務員の年収モデルをみると、各種手当が含まれていないため、実際より年収が低く感じるように記載されています。
では、実際の地方公務員の給料・年収はどれくらいでしょうか。
地方公務員の具体的な月額給料は?30才・40才で比較。
国家公務員は民間に合わせて、地方公務員は国家公務員に合わせるので、大きくは同じなのですが、細かい各種手当や制度は自治体などによって様々です。
私の働いていた市役所では、給与のしくみは次のとおり。
<市役所の給与のしくみ>
- 大卒初任給:18万円程度、
高卒初任給:15万円程度 - 賃金表に沿って、毎年5,000~7,000円昇給
- 入庁〇年目、役職が付いた際など、少し多め(1万円程度)に昇給
どんな人でも、同期入庁で同じ区分(大卒など)なら、同じように給料が上がっていきます。
役職がつくタイミングで差がつきますが、政令指定都市や大きめの市町村では役職試験が導入されていて、試験に合格しないと昇格できないのが一般的です。
私がいた市役所、地方の中小自治体は、特に係長試験などは何もありませんでした。
そういった自治体では、異動の際に、突然、係長(主査)になります。
具体的に私が地方公務員としてもらっていた給与を公開します。
<地方公務員の実際の月額給与>
- 30才 主事:22.5万円
- 35才 主査:27.5万円
- 40才 主査:31万円(予定)
40才以降は、昇格などによって、多少異なってきますが、55才程度になると昇給停止になるのが一般的です。
もちろん、同じ年齢だと役職の高い方が給料は高くなりますが、笑えない本当の話として、私の職場では課長(45才)より給料の高い主任(55才)がいました。
「責任はないけど給料は高い」という、まさに公務員の世界でしか起こりえない状況。
深く考えだすと精神上良くないので、みんな見ないふりです・・・
各種手当(時間外手当、扶養手当、家賃手当、通勤手当、寒冷地手当)について
公務員には、給与のほかに各種手当が支給されます。
これは公務員に限った特別なものではなく、大企業・ホワイトな企業であれば、支給される手当です。
時間外手当
時間外手当=残業代です。
公務員を目指している人への注意ですが、私の経験上、公務員は残業代がすべて出ないことが結構あります。
公務員は「単年度予算」で動いているため、予算がないから残業代を支給できないという、労働基準法も真っ青な理屈で支給されないことがあるのです。
(ちなみに公務員は労働基準法の対象外となることがあります)
その場合、課ごとに残業代を分け合ったり、付けたい人が付けたら予算がなくなったり、残業代をめぐって何とも揉めそうな状況が生じます。
もちろん、これは自治体や組織によって異なりますが、私が公務員と交流してきた範囲では、決して珍しいことではありませんでした。
将来的には解消されていくものと考えていますが、その場合、公務員の生産的な働き方とセットでの改善が必要かと考えます。
残業代については、タイムカードできっちり支給する民間のホワイトな企業の方が、公務員よりも待遇が良いのが実情かと思います。
扶養手当、家賃手当、通勤手当、寒冷地手当
各種手当のおおよその相場です。
扶養手当 | 配偶者6,000円 第1子10,000円 第2子以降6,000円程度 |
---|---|
家賃手当 | 家賃に応じて25,000円上限程度 |
通勤手当 | 公共交通機関の定期代など |
寒冷地手当 | 寒冷地での勤務の場合、冬季に計5~10万円程度 |
大卒初任給が18万円程度ですが、家賃手当を含めると、大卒だと最低でも20万円程度は支給されることになりますね。
地方公務員の具体的な賞与(期末勤勉手当)は?30才・40才で比較。
地方公務員には、民間の賞与の代わりに「期末・勤勉手当」というものが存在します。
私が働いていた市役所の賞与のしくみを紹介します。
<市役所の賞与(期末勤勉手当)のしくみ>
- 給与の〇ヶ月分は、職員一律(4~4.5ヶ月程度)
- 扶養手当も計算の基礎に入る
- 役職が付くと5~15%加算される
扶養者が多いほど、賞与が多い。
役職が上位であるほど、賞与加算が多い。
改めて振り返ると、給与が高い役職者に対して、なぜ賞与を加算するのか謎・・・
賞与も人事院勧告によって民間と連動するので、好景気になると多くの賞与が支給されることとなります。
地方公務員の具体的な年収は?30才・40才で比較。
これまでの説明を踏まえて、実際の地方公務員の年収モデルを記載します。
項目 | 30才主事・独身 | 40才係長・妻・子2人 |
給与 | 22.5万円 年270万円 |
31万円 年372万円 |
扶養手当 | 0円 | 2.2万円 年26.4万円 |
家賃手当 | 2.5万円 年30万円 |
0円 (持家) |
通勤手当 | – | – |
寒冷地手当 | – | – |
時間外手当 | – | – |
期末勤勉手当(4.5ヶ月) | 101.3万円 | 156.4万円 |
合計(年収) | 401.3万円+α | 554.8万円+α |
あとは時間外手当の金額によって年収が変動します。
特に若手では、まったく時間外をしない人は珍しいので、平均月20時間程度の時間外としても、年収にすると30-60万円程度は増加すると考えてOKです。
同じ自治体でも、時間外手当の予算を多く持っている部署と、予算がない部署があったりして、なぜか時間外をつけられない理不尽な状況もあるので、素直に計算できないのが難しいところです。
【もらいすぎ?】地方公務員の給与を公開!30才・40才の給料・賞与・年収は? まとめ
地方公務員の年収・給与・賞与を実際の体験を踏まえて紹介しました。
あなたが思っている公務員の年収と比べて、だいたい同じだったでしょうか?
地方公務員は同僚で結婚することも多く、地方公務員夫婦だと2馬力で世帯年収1,000万円を超えてきます。
地方の田舎暮らしで世帯年収1,000万円を税金からもらう必要があるのだろうか?
地方公務員の給料がもらいすぎ?
私が10年間働いた感触は次のとおりです。
地方公務員の給料はもらいすぎか?
- 「仕事の成果」への対価としては「もらいすぎ」
- 「労働」への対価としては「妥当」
少し言いかえると、
「アウトプットへの対価」としては、そこまでの価値を産みだしておらず「もらいすぎ」
ですが、
「意味のないような仕事」、「無茶な苦情」を片付けていく苦行の対価としては「妥当」
この点を掘り下げると1記事書けそうなので、ここまでにしておきます。。。
今後も地方公務員についての記事を書いていきますので、ぜひ読んでください。
- 【経験者が教える】地方公務員に向いている人・向いていない人の特徴
- 安定、残業がない、有給が取れる・・・という理由で地方公務員になってはダメ
- 自治体によってこんなに違う!民間なら企業研究、地方公務員なら自治体研究をしよう!
- これからの地方公務員に求められるもの
スマホで学べるおすすめの公務員講座はこちら